その2 お尻の巻
それは、残暑の厳しいある晴れた日の出来事だった。
その日、私は旧友であり今は東京で華やかな(?)業界に身を置く「T」という男の依頼で、写真撮影に出かけた。
毎度変りばえのしない撮影ではつまらないので、ちょっと足を伸ばしてみることにしたのだが、これが後に悲劇を招くことになろうとは、神ならぬ身の知る由もなかった…。
快調にドライブして予定のポイントに到着した私は、車を止め撮影に入った。
小1時間ほど撮影に没頭し、さて帰ろうかと私は車に戻った。
既に汗だくだ。
近くにコンビニがあったから缶コーヒーでも買って飲むべぇ、と急いで車を後退させた。
と、ごん、という鈍い音。
あー、またやったか、というのが正直な感想。
車を降りて状態を確認。
バンパーはべっこり凹み、ボディーとリアゲートにも線傷が。
ぶつかったのは石の柱。
表面の凹凸がたくさんのこすり傷をつけてくれていた。
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