しかしまあ。
先日実に7ヶ月ぶりに新作を上げましたが、作品にキリをつけるときの心境というのは何とも複雑ですね。
私の場合、もっと手を入れたいという思いと、もうこれ以上関わりたくない、という相反する二つの感情があって、後者が前者を上回った瞬間にその作品は「完成」となるわけです。言ってみれば、明確な完成形が自分の中にありそれを目指して手を動かす、というイデア論的な創作ではなく、常に手を入れながらその結果をフィードバックして作る、関係論的な創作である、と言えます。したがって、工程のスケジューリングは不可能、結果一つの作品にだらだらと4ヶ月もの時間を費やしてしまうという無駄が生じるわけです。
あまり効率のいい描き方だとは云えませんね。
自分の中に明確なイメージがない分、如何ようにも変容しうる作品と戯れるのは楽しいことですが、逆に停滞時の苦痛もまた大きく、常に「中途放棄」の危険性が付きまといます。そういった意味で、今回ぎりぎりまで「手を入れたい」という思いがあったことは幸いでした。まあ、「もう関わりたくない」がもうしばらく引っ込んでてくれたなら、今よりも緻密な作品になったかもしれませんが、いかんせん時間がかかりすぎました。
原理的にはどこまでいっても「完成」ということはないので、実は作品を「仕上げてしまった(=仕上がったことにしてしまった)」後でも、葛藤は続きます。
あそこはもっとこうしたらよかったんじゃないか、ここは今ならこうできる、という思いが常に付いて回ります。今度はこの感情が、もうあの作品のことはいいじゃないか、という感情とぶつかるわけです。
なんというか、現金なもんですね。
実際今も今回の新作についてはその二つの思いが錯綜しているのですが、どちらも重さとしてはほぼ均衡しています。おかげで再度手を入れずに済んでいますが、それがいいかどうかはまた別問題です。
このジレンマを解消する最善の手段は、他でもない、新しい作品を作り始めることに他なりません。
そんなわけで、次はもっと早めに手をつけようと考えている今日この頃であったりします。
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