強固なロジックの無限の反復

2002年10月11日(Fri) 晴

かつてテロリストだったあなたに

 いまさらのように黒田硫黄「大日本天狗党絵詞」(全4巻)を読んでいます。
 連載当時通読していなかったせいで面白さがイマイチつかめなかったのですが、同氏の「茄子」をきっかけに改めて手にとってみるとこれが面白い面白い。
 天狗にさらわれちゃった(?)女の子の一人立ちの物語であり、そしてテロリスト達の栄光と没落の物語。
 あらすじを簡単に紹介すると、浮浪者同然の生活をする師匠とシノブのコンビがなんだかよくわからないうちに「敵(これはシノブの実のおじなのだが)」の脅威に晒され、それに対抗すべく国内の天狗に大同団結を呼びかけ、日本を天狗の国とするべく云々という何とも説明しにくいお話なのです(実際自分で書いててさっぱりわからん)。
 飄々とした語り口でさらりと語られてしまうのであはあはと笑いながら読めてしまい、その後ではたと考えるとなかなか深かったりするというよく出来たお話です。論より証拠、未読の人は是非に。特に昔テロリストだった、或いはテロリストに憧れた、という人は読んだら切なくなること請け合いです。これからテロリストを目指す人も読みましょう。但し現役のテロリストは却下です。
 テロとは観念的な暴力なのですョ。

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