強固なロジックの無限の反復

2003年2月9日(Sun) 晴

裏方

 ふと、昔なりたかったものを思い出しました。
 小学校高学年の頃でしたでしょうか。私は出版社の編集者になりたいと思っていました。自分で直接何かを訴えるのではなく、人の持つ才能を掘り起こして、それを送り出すことを仕事をするのもいいなあ、と憧れを持ったものです。そう思ったきっかけが何だったのかは今となってははっきりと思い出せませんが、とにかく小学生にしては渋すぎる夢ですね。
 ま、今となってはただの夢物語に過ぎませんが、小説家とか漫画家とか、そういった物語を生み出すクリエイティブな職業よりも、それを支える裏方のほうに魅力を感じた、というのは、もしかしたらその頃すでに自分を、自分の才能を見限り始めていたのかもしれません(笑)。
 スポットライトを一身に浴びるよりも、その影でこそこそと動いているほうが自分の性にあっているということもその頃気づいたのだったと思います。
 その意味で、作家の原稿を本という形にする編集者という仕事はとても魅力的に思えたものです。いつの間にかその夢を忘れてしまい、結果的に今の仕事に就いているわけですが、もし夢に向かって進んでいたらどうなっていただろう、と考えるのは面白いですね。作家のところを渡り歩いてはなだめたりすかしたり、今とは全く別な日常を過ごしていたかもしれません。
 今これからその夢をかなえるのはほとんど不可能ですが、人をおだてたりたきつけたりしてなんとなくその気にさせる、というのは今でも好きです(笑)。
 自分の才能はなかなか認めることが出来ませんが、その分他人の才能には敏感でありたいなあ、と思うこのごろであります。

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