強固なロジックの無限の反復

2003年4月25日(Fri) 雨

夢も希望も

 いったい自分が何をしたかったのか、わからなくなることがあります。
 自分の思春期には「夢」というものがあったのか、なかったのか。今から振り返ってみるとなんだかあいまいです。
 今から考えてみると具体的にあれをやりたい、これをやりたい、という希望も、あんなふうになりたい、という憧れも、なかったのではないか。本当はやりたいことなど何もなくて、その結果が今の生活につながっているという、ただそれだけのことではないか。そう思えてなりません。
 もちろん、青春の時間から次第に遠ざかっているからそう見えるだけのことなのかもしれません。しかし、あの当時何かを熱烈に切望していた、という記憶がないのも確かです。

 画が描きたかった。
 うん、それは事実だ。しかしそれが人に見せられるような形にまでなったことがあっただろうか。
 物語を書いてみたかった。
 それも間違いない。しかし途中で飽きて放り出しはしなかっただろうか。
 デザインのようなことをやってみたかった。
 一時期確かにそう思った。しかしそれについて何か勉強しただろうか。
 編集者のようなこともやってみたかった。
 それも考えた。しかしそのために情報を集めたりしただろうか。

 …今にして思うと、「したいこと」はあっても、そのために何かに一生懸命になる、という発想がなかったのかもしれません。何かひとつのことに打ち込んだ、という経験がないために、何一つとして残らず、いまこうして無益な文章を垂れ流しているのだ、というのはあながち外れてはいないでしょう。
 そんな私でも、今はそれなりにサラリーマン生活を送っています。
 いや、そんな私だからサラリーマンになった、と言うべきかもしれません。
 夢のなかった私にとっては、今の私こそが本来あるべき私の姿なのではないか、とも思います。夢や野心を持たなくても、それなりに生活していけるこの国のおかげなのでしょう。

 今はひとつ夢があります。
 夢のある人間でありたい。
 儚い、夢ですが。

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