強固なロジックの無限の反復

2003年6月7日(Sat) 曇

感傷的

 地味な映画が好きです。
 派手なエフェクトとか、手に汗握るスリルとか、別に嫌いではないのですが同じお金出して観るんならゆっくり観れるほうがいい、というのが私の信条。
 要するに、そういう映画を観に行ってきたのです。

 「チルソクの夏」

 山口県下で先行上映中なのでご存知無い方がほとんどでしょう。一言で言うと1977年の山口県下関を舞台にした青春恋愛映画。韓国の釜山との交流陸上競技会で知り合った双方の高校生が、1年後の競技会での再会を約束するものの…という淡く切ないお話です。
 特別な仕掛けはなく、奇を衒わず、愚直なまでにストレートなつくりで、どちらかといえば古いタイプの映画ですね。正直、こんな映画がまだ日本で撮れたということに驚きます。
 主人公含めて4人の女の子たちがとても輝いて見えました。
 10代の頃って程度の違いはあっても誰しも嵐のような密度の高い時間を過ごし、ふと気づいてみるとあっという間に彼方に遠ざかってしまっているものですが、その渦中にいるときは誰もそんなことは思いもしません。しかし、過ぎ去ってしまったあとにその濃密な時間を思い起こすとき、その取り返しのつかない時間を思うとき、なんとも言えない気分になるものです。
 人はそれを「感傷」と呼ぶでしょう。しかし本人にとってそれが大切な時間だったことは誰にも否定できません。
 そんな感傷を呼び起こす、そんな映画です。
 全国公開になったら是非劇場へ。

 追伸:陸上競技シーンはなかなかの見ものです。

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