自分がいまいち青春らしい青春を実感できなかったせいか、青春映画に弱かったりします。何かひとつのことに打ち込んだりとか、そのために無茶したりとか、そういうのってちょっと憧れてしまいます。
今日から公開になった映画「ロボコン」を観てきたのですが、ちょっと荒削りな作りながらそういう憧れをうまーくくすぐる映画でした。全国高専アイデア対決・ロボットコンテストを題材としたもので、文化祭前夜の興奮を思い起こさせる雰囲気。身に覚えのある人も少なくないでしょう。
主人公はやる気ゼロで補習授業免除を条件に第二ロボット部で操縦を担当することになった女の子・里美。部員は協調性ゼロの設計担当・航平、自信ゼロの部長・四谷、忍耐力ゼロの工作担当の竹内の男子3人。まったくチームワークのない状態で地区予選に臨んであっさり敗退、ところがどっこいアイデアを買われて全国大会に…というのが物語のあらすじです。
まあ、細かい部分の演出なんかにはいろいろと言いたくなることもあるんですが、それでもこの4人のキャラクターがとても面白いのです。里美は冒頭保健室のベッドでぽかんと口を開けている、というまったくやる気のない登場の仕方をします。これはすごい。決勝戦でリモコンを手に駆け回る姿はまるで別人ですが、そこに至るドラマの必然性はきちんと確保されています。もうひとりの主人公である航平は、他人にまったく関心のない自己中心的なキャラクターとして設定されていますが、それが変わったことを表す言葉がぽっと一言出てくるのも自然でよかったと思います。
青春というのは子供から大人への過渡期であり、誰もが経験するものでありながら、大人になってしまったあとでは2度と経験できない、そういう時期です。それは不確かなものを確かなものへと変えていく過程であり、ある程度確かなものとなってしまった大人には、振り返ることしか出来ない時期なのです。
青春映画はそういう意味で言えば大人のためのものかもしれません。ある程度自分が確かなものへと変わったことを確認して、また次へと歩き出すために。
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