強固なロジックの無限の反復

2003年12月9日(Tue) 曇

両義性の迷宮

 どうも12月に入ってからますます低調ですが、私は生きてます。元気じゃありませんが。

 んで、元気じゃない私が最近読んだ本はといえば、いしいひさいちの「現代思想の遭難者たち」(講談社刊)なんですよ。実存主義のハイデガーに始まって、ニーチェやマルクスといった20世紀の34人の思想家をわからんなりにパロディで一刀両断するという、もう難しいんだか易しいんだか、面白いんだかそうでないんだか、マンガなんだかそうでないんだかよくわからないしろものでして。野心的とも無謀ともいえる本です。
 そう、この幾重にも重層的に施された両義性そのものが既に現代思想の本質を鋭くえぐっている…のかどうかは素人の私にはわかりませんが、名のみが語られてその本質が明らかになることのない「ポストモダニズム」の正体は、実は案外身近な結論だったりするかもしれんよ、という感想を抱かせる辺り、なかなかたいしたものです。
 しかしまあ、一応お勧めはしません。パロディーとはその対象を知って初めて意味を了解できるものあり、この本がパロディーとしているのは一般には難解とされている思想家ばかりですから。
 でも、単純に「いしいひさいちのマンガ」というテクストとして受け取ることが、一番楽しめる読み方かもしれませんがね(笑)。

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