また新しい年が巡って来てしまいました。年を重ねるごとに1年の過ぎ去るのが早く感ずるのは、どうやら紛れもない真実のようです。
昨年、年頭に「今日とにかく昨日と同じように過ごせたなら、明日もきっと同じように過ごせるだろう」と書きました。昨年1年、私は確かに同じことの繰り返しを生きたように思いますし、それをたびたび文章化してきました。
しかし、それは単なる思い込みに過ぎないのです。2003年は私にとって、「強固なロジックの無限の反復」と形容される日常が、実は薄氷を踏むような危ういものに過ぎないということを思い知らされた1年でもありました。今日が昨日と同じように過ごせたからといって、明日を同じように過ごせるかどうか、それは実は誰にもわからないことです。そんなことは実は誰もが知っているのです。ただ、普段はそれを忘れているというだけに過ぎません。
今日の次に本当に明日が来るかどうかを疑い始めたら、不安で日々暮らしていくことができなくなってしまいます。私たちはその「本質的な事柄」から目をそらすことではじめてその不安から逃れることができます。時間を一定の単位で区切ることは、この不安から目をそらすための人の知恵であると同時に、一方で人はいつか必ず死ぬという「本質的な事柄」を思い出させるための約束なのだろうと思うのです。
新しい年を迎えるということは、自らの終焉に一歩ずつ近づいているということとイコールです。ゴールが遠いのか近いのかは誰にもわかりませんが、少なくとも去年よりも近づいていることだけは間違いありません。
年頭に当たって、そのことをもう一度意識してみたいと思いました。
去年よりもゴールに近づいた自分は、果たしてちゃんと前進できているだろうか。 あなたは、いかがですか?
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