強固なロジックの無限の反復

2004年9月5日(Sun) 曇

図書券

 長いこと記念品の定番としておなじみだった「全国共通図書券」ですが、どうやら近い将来「全国共通図書カード」に完全に置き換えられて廃止になるようです(*)。まだ私の住んでいるところを含む一部地域のみですが、いずれ全国で実施されるでしょう。
 時代の流れなのでしょうが、なんとなくさびしいものですね。500円券の十二単の絵柄もそういえば最近見ていませんでしたが、あれもそのうち思い出の彼方に消えてしまうのでしょうかねえ。

 図書券、もらうと嬉しかったですねえ。
 だいたい進学などのお祝いでした。たまに努力賞なんかの記念品でもらうと、すごく得したような気分になったものです。昔はよく本を読んでいましたから、それで何を買おうか、どんな本にしようか、考えるだけでわくわくしたものです。
 不思議なことに、実際に図書券でどんな本を買ったのかはあまり覚えていません。多分辞書などに化けたのだろうと思います。期待の向こうにある現実なんてそんなことが多いのかもしれませんが、そのときの高揚感だけはあとになってもよく覚えているものです。
 現金と違って何にでも交換できるわけではないけれど、その中の選択肢が無限にある、というところがきっと子供なりに気に入ったのでしょう。

 贈り物というのはきっと物そのものよりも「気持ちを動かすこと」に意味があるのだろうと思います。
 今の子供は即物的に現金をもらったほうが喜ぶのかもしれませんが、それじゃ贈った大人の負け、です。大人には子供を喜ばせるのではなくて「わくわくさせる」義務があると思います。単に選択の自由を与えられただけじゃわくわくしない、でも制約は大嫌い。子供を「わくわくさせる」って意外と難しいですが、そうやって正しく「わくわくして」育った子供は、きっといい大人になると思うんだな。

 図書券からずいぶんと話が大きくなりましたね。
 それだけ私は図書券から思い出をもらっていたということなのでしょう。長い間、どうもありがとう。

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