久しぶりに中島敦の「山月記」などを読んでいました。
昔(初めて読んだ高校2年の頃〜大学時代)気になった「尊大なる羞恥心」「臆病な自尊心」よりも引っ掛かった箇所。
今少し経てば、己の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋もれて消えて了うだろう。
ああ。
今少し経てば、俺の中の少年の心も、社会人としての習慣の中にすっかり埋もれて消えて了うだろう。
もう昔のような旺盛な好奇心もないし、繊細な感受性もない(後者は初めからなかった?)。職場と自宅を往復し、同じようなことを繰り返す仕事で神経をすり減らし、休日は寝るだけ。そんな単調な習慣の中にはかつてのような形而上のものごとを考えるエネルギーなど生じようがないのです。
でも、李徴の云うように、習慣にすっかり収まってしまえば、その方が多分私は幸せになれるのでしょうが。
幸せって何だったっけ。
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