どこか緊張を保っているようなものが好きだ。
ぎりぎりに張り詰めた、今にも切れそうな緊張ではない。表面上は穏やかだが、その背後にすっと背筋を正させる何かがある、そんな姿勢が好みだ。
凛々しさ。
たとえばテレビ・映画。
適度な緊張感を伴った爽快感のある映像。そういう映像に出会う機会は少ない。むしろしどけなく弛緩した映像ばかりが漂う。むやみに緊張を強いる強迫的な映像ばかりが溢れる。
街を歩いている人の姿が美しくない。妙にくつろいで見える。他人の目を気にしない、というのではない。自分の中に他人の目を持たぬから自分が見えないだけのことだ。
凛々しくありたい、と思う。
どこかに緊張を保っていたい。
他人に迷惑か否かでなく、或いは周囲の目を気にするわけでもなく、自分の背筋を正そうとする気持ちは、持ちつづけていたい、せめて。他人のためでなく、自分のために。
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