強固なロジックの無限の反復

2003年7月7日(Mon) 雨

シミュラークル

 昨日買ってきた本(*)は7割方読み終えました。あともうちょっと。
 なかなか鋭い分析だと私は思ったのですが、いかんせん独特の用語(シミュラークルとかスノビズムとか)が多いので現代思想に免疫のない方にはちょっととっつきにくいでしょう。ただ、実例が豊富なのでそっちのほうに詳しい人なら多少は理解できるかもしれません。少なくとも大澤真幸氏の文章よりは読みやすいと思います(笑)。
 まずデータベースという概念で「萌え」といういわく言いがたい概念を説明して見せたのには感心しました。この言葉を日常的に使用している人は決して少なくないでしょうが、その概念を知らない人に明快に説明できる人はほとんどいないでしょう。これはまずそれだけでも十分に価値のある仕事だと思います。おかげでいろいろな疑問(たとえば昨今のアニメ等に私がなじめない理由とか身近な友人の不可思議な行動様式の理由とか…)が氷解しました。
 ただまあ、昨日のような問い「私はオタクなのかそうでないのか」の答えにはなりませんね。
 ポストモダンの流れの中で独特な消費活動を展開する特徴的な人たちがオタクであるとするなら、ポストモダンのデータベースモデルを俯瞰しようとしている著者も私も、実はオタクではないのではないか、という疑念が消えません。まあ、それならそれでいいのですが。
 読み進めるとなかなかに不気味な感覚を覚えたりもしますが、今何が起こっているのかを割と的確に捉えた1冊ではないかと、個人的には思います。

[▼]

目次