強固なロジックの無限の反復

2004年2月10日(Tue) 曇

圧倒的!

 無念なので(*)先日入手したJazztronikの最新アルバム「七色」をヘヴィーローテーション。「Horizon」も衝撃でした(*)が、今回はフルアルバムということでさらに気合を感じます。
 1曲目タイトルチューンの「七色」は日本語詞のヴォーカルものでキャッチーなつくりになっていますが、そこからシームレスにつながる「鳳凰 -PHOENIX」はいきなりエレクトロニックなクラブナンバー。で、3曲目の「Arabesque」でアコースティックなジャズサウンドに強烈なラテンのビートとエスニックなメロディーを乗せて来る。冒頭から3曲聴いただけで完全に圧倒されてしまいます。5曲目の「Nana」はその昔スクエアやカシオペアなどのフュージョンが好きだった人なら思わずぐっとくる構成ですし、そうかと思えば7曲目「Sky Fallin'」は英語詞で女性ヴォーカルの美しいバラード、8曲目「Someday (Etude For The Right)」はピアノ中心のトリオでじっくりと聴かせ、一方で10曲目「SAMURAI -侍」のようなブレイクビーツもあり、まさに変幻自在、タイトルどおり七色の音の洪水!
 これだけあの手この手を繰り出してくるのに、ちゃんと1枚のアルバムとして仕上がっているというのもたいしたものです。
 インストものはちょっと…という人もいるでしょうが、断言しましょう。絶対損してますよ。そんな境目をひょいと飛び越えてしまう人だって世の中にはいるんですから。
 例えば、Jazztronikは一応カテゴリとしてはクラブミュージックに分類されます。確かにジャンルによる分類はCD店で探しものをするには役立ちますが、しかし決して音楽の本質を示しているわけではありません。ジャンルだとかカテゴリーなどという概念は、実際の音楽を前にするとたちまち無力なものに成り果てます。Jazztronikはクラブのスタイルで作られる音楽ですが、その枠にはまりきらないことは音を聴けばたちどころに了解されるでしょう。
 重要なのは常に単純なことで、「(客観的に)その音楽が何であるか」ではなく、「(私が、)その音楽をどう聴いたか」でしかないのです。この「七色」という文字通り七色のアルバムは、まさにそんな本質的な音楽体験を呼び起こします。
 そんなわけで、これはもう聴くしかないでしょう。

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