強固なロジックの無限の反復

2004年3月6日(Sat) 曇

ただ観る

 X-dayでした。
 鈴木敏夫Pの陰謀に踊らされて観てきました、「イノセンス」。
 で、またぞろ何か書くか、と思っていたのですが、やめました。
 何故?
 語る必要が全くないからです。
 私はこの映画を「ただ観た」に過ぎません。
 起きて理性を保ったまま見る夢。
 寝ているときだけでなく、起きて覚めているときにも夢を見たい、というのは古くからある欲望の一つかもしれませんが、この映画はまさにそんな夢の一つでしょう。
 夢の大半が悪夢であるように、そうして作られた映画もまた、悪夢でしかありえません。
 そこで何が起きているか、何が語られているかを理解する必要はついぞなく、ましてその映像や音声がどのように作られたかを知ろうとする必要などあろうはずもなく、ただ目の前に現れては消えるイメージを何も考えずにただ受け取るだけ。解釈も思弁もせず、自分の網膜に投影される影と、鼓膜に届く振動とをただ受け取るだけ。
 だから、昨日見た夢について誰かに語ることが決して有益でないように、この映画について語ることも必要ないのではないか、と今はそう思います。
 そんなわけで、語ることは放棄。

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