強固なロジックの無限の反復

2004年3月14日(Sun) 晴

オトナの思慮

 自分が大人になったなあと思うこと。

 めったやたらに自分の好きなものを他人に勧めなくなった。

 まあ勧めるのが面倒になったとか、他人に勧めるほど熱心に好きになったものがないとか言うこともできますが、とりあえず自分の嗜好はともかく他人の嗜好は実に多種多様であるという、ごく単純な事実をようやく理解したのでしょう。
 理解だと? …理解とはおおむね願望に基づくものだ。
 「イノセンス」の荒巻の台詞じゃないですが、そうなったのだと思いたいという願望も確かに多少は含まれているのでしょう。昔はやたらと自分の気に言ったものを人に勧めていましたし、それが正しい姿勢であるというように思い込んでいたような気がします。自分がこれだけ衝撃を受けたのだから、他の人だって同じ衝撃を受けるに違いない、という素朴な類推に基づく行動ですし、それはそれで確かに間違っているわけではないのですが。
 今も人に勧めることが全くなくなったというわけではないのですが、勧める相手を選んだり、勧めるポイントを相手によって考えたり、ということを間にはさむようになりました。相手のことを慮る余裕。これがかつての私には欠けていたのです。
 いや、今が思慮に満ちたオトナの男かと問われるとそれはちょっと自信がないですが。

 そんなわけで、暗に「イノセンス」を勧めている私です(笑)。


 ※お断り:
 筆者は明日からしばらく留守になりますので、本欄も当面の間休止とさせていただきます。

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