お客さんのところを訪問したら、1歳くらいの男の子がいまして。
私の顔を見るなり大泣きされてしまいました(笑)。
何もそんなに泣かなくたっていいじゃないか。俺の顔ってそんなに怖いかい?
別にあんたのかあちゃんを持ってきゃしないからさ。
青洟たらして、声が出なくなるまで全身全霊で泣かれてしまった私の立場ってもんも少しは慮ってはくれないかね、少年(…と言うにはちょっとばかし若すぎるか)。おじさん困ってしまうよ。
ま、子供にそんなこと言っても通じないか。
いいなー、と思ってしまいましたよ。ちょっと羨ましい。
人と関わることが人間として生きるということらしい、とはここでも何度か書いてきたことですが、あのぐらいの子供はその意味ではまだ人間ではないですもんね。父と母の庇護にあればそれ以外の人間と関わる必要などないのですから。
彼にとって見知らぬ私という人間の出現は、全身全霊で泣き叫ばなければならないほどの非常事態であり、恐怖体験だったのでしょう。それをストレートに表現できる彼が、ちょっと羨ましい。
私は大人だから、そんなことはいくらなんでもできないよ。
で、このおはなしには続きがあるのです。
用事が済んで帰り際、母親に抱き上げられた彼に手を振ると、顔をぐしゃぐしゃにしたままちゃんと手を振り返してくれたのです。
あ、こんな小さい子でも、ちゃんと人なんだなあ。
人と関わるなんて、大上段に構えることじゃなくて、こんな些細なことなのかもしれません。
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