高橋しん「いいひと。」(小学館)の文庫版を読み終えました。
なんだかもう、どうしようかというぐらいに今のタイミングにぴったりだったのです。以前古本屋で途中まで立ち読みしていたのですが、先を焦らずにこうして順に出るのを待って読めたことは、私にとってしあわせだったかもしれません。
単行本が出るのを待つどきどき感も久しぶりでしたね。
サラリーマンとして生きるということは、自分を組織の一員として目に見えないシステムとかノウハウとかに身をゆだねて生きることになります。大きなシステムの一部となることで、自分自身が関わらねばならない範囲を小さくしてラクに生きることができるようになりますが、そのかわり働くことの喜びも悲しみもなんだか間接的になってしまってどこにあるのかわからなくなってしまいがちです。
人として生きることの切なさとうれしさ。
しあわせを願うことの難しさと簡単さ。
ああ、そうか。
当たり前のことだけれど世の中は人でできているんだ、ということに気づかせてくれた作品です。
「最終兵器彼女」に続き、「いいひと。」を読んだことで私の考え方は劇的に変化してきています。
もっと人の中で生きたい。人と関わって生きたい。
ゆっくりでいいから。
…俺って影響されやすい人だったんだなあ。
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