もてない男がもてないのはなぜでしょう?
ルックスがイケてないから? センスが悪いから? 性格が悪いから?
どれも間違いではないでしょうが、この条件付けでは必ず例外があります。ルックスが多少アレな人でも(笑)彼女がいる人は少なくないでしょうし、センスや性格が決定的にマズくても、それは同じように思います。これらの条件はある一面を示しはするでしょうが、それが決定的な理由であるとは言えないように思います。
もてない男がもてない理由はもっと単純明快な事実にあるのではないか。
先日「テーマ」を総括(*)してからは、なんとなくそう考えています。
単純明快な事実とは?
当たり前のことです。
もてない男は、もてないからもてない。
一見同義反復のようですが、これが今の私の考えです。しかしこれでは説明になっていませんね。
もうちょっと精密に言うなら、「もてない男は女性にもてたという経験がないためにもてないのだ」という言い方になります。要するに、もてない男というのは女性と接する際にどのような言動を取ればいいのかという知恵がないのです。これはそのものズバリの「もてない男」(ちくま新書)という本で小谷野敦氏が言っていたことと同じですね。
しかし、単純に技術的水準の問題であるなら、もてないことで苦しむ男はその技術について微に入り細を穿ったハウツーさえあればごく簡単に救うことが出来るはずです。しかし、現実にはそんなもので救われた、という話はあまり聞きません(「総括」のときに言ったことと違いますね…)。そこで「知恵」という言葉を使ったのです。単に「こういうときにはこうすればいい」という知識では女性にもてるようにはならないようです。
当たり前のようですが、相手は人間ですしこちらも人間です。どうももてない男というのはこの単純な前提を忘れてしまいがちなのではないか。…というのは私の乏しい経験に基づく乱暴な推論(笑)ですが、恋愛事もなんとなく「知識」でどうにかなってしまいそうなイメージを抱いているのならば、あながち外れてはいないと思いますよ。いかがですかな読者諸兄?(笑)
ちょっと脇道にそれましたが、この知恵を身につけることのできていない男がすなわちもてない男であると思うのです。
この知恵がないゆえに初対面で女性に好印象を与えることが出来ず、その後いかにそれを払拭しようと努力しても無駄に終わるのではないか、というのが私の見解です。ちょっと前に話題になった「女は男のどこを見ているか」(同じくちくま新書、岩月謙司著)でもそんなようなことが書いてありましたね。言ってみれば、もてない男は全身から「もてないオーラ」を発散しているようなものかもしれません。これはいくらセンスがよくなってもルックスがよくなっても変わりないでしょう。「今までもてたことがない」という事実がある限り、このオーラを振り払うことは出来ないように思います。
つまり、女性と接するときの知恵を身につけない限り、もてない男はいつまでたってももてない男のままであり、いくら経験を重ねてももてないという事実が累積すればするほどますます女性にもてなくなっていく悪循環に陥るのではないか、と仮定することが出来るわけです。
したがって、以前当欄で展開した「恋愛回避スパイラル」の論理は、構造をそのままに多少修正されることになります。この論理は「恋愛ができるできないは才能(先天的な所与)である」と仮定することでスタートしていましたが、この前提を「恋愛に必要な知恵を身につけているか否か」というものに変更しなければなりません。知恵は先天的な所与ではなく後天的に獲得される形質ですから、努力次第によってはこのスパイラルを抜け出すことは可能である、ということになります。ただし、その努力は極めて困難なものになるであろうと容易に推測されます。なんと言っても、もてない男はその存在そのもので自分がもてないということを力いっぱい主張しているようなものですから。
とにかく、もてない男はもてないからもてない。
こう開き直ってしまえば少し楽になるのではないか、と思うのです。
もてない男で悪いか、俺はもてない男だ、文句のあるやつは出て来い!
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