先日画を放棄した(*)私は、それでもなお画に固執しているようです。
端的に言えば、自分じゃ描かないが他所様の描いたのを見るのは好き、という状態でして。
以前物語と画との密接な関係性について一席ぶったことがありましたが(*)、どうもこの辺が原因のようです。
画をやめてからこっち、自分の時間はとれなくなる、ストレスの要因は増える、あまりいいことはありません。物語のような非日常を日常の中で消費する欲求は以前よりも高まったといえるでしょう。もちろん、こんな状態ですから逆に自ら創作に傾ける意欲なんてのはほとんどゼロに等しいのですが、だからといってそういった刺激に触れなくなるのはかえって精神的に参ってしまいます。だもんだから自分はラクして他所様の作品を見る、という安易な構図が生じるわけです。
情けない、元画描きとして矜持の一つもないのか。
思わずそうつっこんでしまいたくなりますが、これがなかなか。長年の物語依存症を克服するのは薬物依存などと同様なかなかの困難を要します。しかも依存要因はだんだん増えています。
私がいつまでたってもまともな画が描けなかった理由、私がどうしてもまともな恋愛ができない理由…。それは、年がら年中物語を夢見ているからではないか…。
などと深刻ぶっても仕方がありません。
とりあえず、画を放棄したときの喪失感のなさは、もしかしたらそんなところに由来するのかもしれませんねえ。
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